『キリスト新聞』2002年1月19日号より
著者が所属するミニ集会「コイノニア」が、ここ10年ほど毎年秋に公開講演会を行ってきたが、そこでの10回の講演を、第1部「個性を育てる神」、第2部「日本人のキリスト教を探る」にまとめたのが本書だ。著者は、甲南女子大教授(英文学科)として、英文学と英米の宗教を担当し、ミニ集会「コイノニア」を主催し、会誌『コイノニア』を発行している。博学多彩な著者によれば、日本の未来は、世界に通用する、少なくともアジア全体が共有できるような「価値観」を創造できるかにかかっている。また、宗教的な民族主義が台頭しつつある今日、これからの日本のキリスト教を特徴づけるものは、宗教的寛容の霊性であると提言する。なぜ、そう言えるのか、そして、そのプロセスはどのようなものか、本書は具体的に示してくれるが、それは、世界の文明が、どのような様相を呈しても、イエス様のみ霊にあるこの価値観は人間の歩む道として正しいからだという確信に基づいている。
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