戦後80年の日本人の反省
                 (2025年8月29日)
  今日、京都シネマで、映画「野火(のび)」を見てきました。この映画は、作家の大岡昇平の『野火』を原作としています。大岡は、自己のフィリピンでの戦争体験を「生々しく切実に」伝えようとして、戦後6を経た1951年に、原作を発表しました。その結果が、第3回読売文学賞の受賞です。大岡の想いが通じて、1959年に、市川崑監督がこれを映画にしました。さらに、2014年には、塚本晋也が監督となり、野火を映画にしました。さらに、2025年には、終戦80周年の企画として、市川崑の野火が、「リバイバル」して上映されているのです。
? この映画は、第二次大戦の末期に、フィリピンのレイテ島で、アメリカ軍によって敗走させられた日本の軍人たちが、飢えのために、原住民への殺戮と、仲間同士の殺し合いという人間性の崩壊した人間の有り様をすさまじいまでに生々しく描き出しています。見る者は、ほんものの戦場での実状を、現実に自分のものとして体感させられます。
 戦後の80年間、日本人が、どれほど、切実かつ真実に、過去の戦争体験を反省し、その上で、その誤ちを真摯に悔い改めてきたかをこの映画の制作とその上映の歴史それ自体が、はっきりと証ししています。映画の上映に先だって、監督自らが画面に現れて、映画の経緯と、80年を経た現在も、この映画が日本人に向けて果たす役割を訴えるという異例の処置が、このことを物語っています。
 こういう反省と悔い改めがあったからこそ、主イエス様から「罪の赦し」が戦後の日本人に与えられて、今日の平和な日本があること、この大事なことを、改めて体験し、悟らされました。国の内外で、「日本人の反省が足りない」などと、さもエラそうに言う「自己反省」に欠けた連中に対する主イエス様からの「答え」を聴きとることができました。
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